「とらドラ! 1巻」ババァ!俺だ!結婚してくれ!


とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ!1 (電撃文庫)

独身女教師(29)の魅力とは

とらドラ!最大の魅力は主人公のクラス担任*1にあることは疑いようのない事実だと思います。
では何故、彼女がこんなにも魅力的なのでしょうか?
彼女の魅力を思う存分語ってみたいと思います。



自己陶酔型お節介

「あら……なんか今日は教室が甘い匂いに包まれてるのねえ。(中略)うふふっ、懐かしいな……イギリスに留学してた時にはホストファミリーと一緒になって……」
「……チッ」
しょうもない話を繰り広げようとしたちょっと頭がお花畑の担任(恋ヶ窪ゆり・独身・29)に逢坂は緊張と苛立ち紛れ、鋭い舌打ちをかましたのだ。ビク、と震えた内股の担任(恋ヶ窪ゆり・独身)はおそるおそる逢坂を見下ろし、
「……せ、せんせいに舌打ちするのは、やめましょうね?」
教育的指導。逢坂の全方位に座っている連中が震え上がっている中、なかなかの根性と言えたが、
「……チッ」
「……あ、あのね? 女の子がそういうことをするのは、ね?」
「……チッ」
「……ああっ、生徒の心に言葉が届かない……っ」
結局は顔を両手で覆い、泣き言を喚く羽目になるのだ。それなら最初からなにもしなければいいのに己の力量を超えたことを引けずにやってしまうあたり、独身の原因があるのかもしれない。


とらドラ! 1巻 141〜142ページより

苛立っている大河に対して注意をする場面なのですが、自分の力量を把握できずに彼女に注意をし、結局なにもできずに自分で自分を慰めています。
こういった人間は基本的に「頑張っている自分」を好きで、自分にできることとできないことを区別せずに「とにかくやってみる、結果は気にしない」姿勢を持っていて性質が悪いのです。
しかも、きっかけが意味のない自分語りであることも考えると、かなり痛い性格の人物に間違いありません。
だから30代目前で独身なんだね!!

空気を読めない

続くこのシーン。

「先生!」
ガタ、と椅子を鳴らして立ち上がったのは、北村だった。
「少々話も長引きそうですし、この件はいったんクラス委員の俺が預からせていただく、ということでどうでしょうか!? 放課後に用事のある者もいますし、また明日の朝にでもゆっくり解決するという方向でご検討ください!」
要するに、俺が忙しいので早くホームルームを終わらせてくれませんか、と。だが独身(恋ヶ窪ゆり・担任・7年間彼氏なし)はクスン?と首を傾け、
「……せんせい、北村君の言っていることの意味が全然わかりません……」
ぜんぜん通じていないのだった。


とらドラ! 1巻 142ページより

思わず「空気読めよ!!」と怒鳴りつけてやりたくなる性格です。
しかも29歳にもなって「……せんせい」って……。
自分の年齢も読めていません。
さすが「年甲斐もなく全身薄ピンクのモテ系ファッションで決めた独身」*2です。
だから7年間も彼氏無しなんですね!!

だから好きなんだよ!!

どこから見てもダメ人間なんです。
確実に地雷臭が滲み出ています。
だけど、ダメ人間好きにはそこがたまらんのです。
このどうしようもない性格に魅かれてしまうのです、地雷だとしても。
この地雷さ加減を愛らしく思ってしまうのです。
理屈じゃありません、衝動なのです。


何度でも言います。
ババァ!俺だ!結婚してくれ!



え、大河がヒロインだって?
ソンナノシラネーヨ。

普通の感想

最初の印象は「ずいぶんと読みにくいなぁ」というものでした。
なぜかって言うと一文一文が短いんですよね。
それでテンポがぶつ切りになってしまって、単調な文章になってしまっています。
ただ、この作品は読ませるのではなくノリを楽しませるベクトルなので、むしろ文章力で引き込むよりもいかに生活観や作中の空気を感じられる描写をするかが重要なことを考えると、こちらの方がいいのかなぁという気がします。


第1巻ということで大河がメインとなる話でしたが、「とらドラ」というタイトルに反して竜児の恋愛模様の描写がすごく薄いのが不満でした。
まー、最終的に大河とくっつくというのならこれでいいのかもしれませんが。
私はお互いの恋愛を成就させるか大河と竜児と実乃梨の三角関係のどちらかがいいと思っているので、次巻以降の竜児のアプローチに期待しています。

*1:恋ヶ窪ゆり・孤独の独に身と書いて独身・29歳

*2:218ページ参照