はるかぜどりに、とまりぎを。2nd Story 〜月の扉と海の欠片〜 「2nd Storyと銘打つだけのことはある」

はるかぜどりに、とまりぎを。 初回限定版

はるかぜどりに、とまりぎを。 初回限定版

最初に

はるとまの2である。
前作はプレイ必須である。
人によってはプレイしなくてもいいというかもしれないが、私は断固プレイ必須派である。
別に2から先にプレイしてもいい、でもその後に必ず1をプレイしなければならない。
理由は読めば分かる。


感想というかメモ書き。
前作と本作のネタバレあり。
基本プレイした人向け。
あと小枝子ルート以外はプレイしていない。
する必要が見当たらなかったので。

本文

まぁ何というか制作発表があったときは「正気かよ」と思ったけれども、なかなかどうしていい作品でした。
直接的な繋がりは、1の主人公の父親である亘と母親である小枝子の話を本作で扱うということである。
実は明確なつながりはそれだけなのに、作品のテーマとして1のヒロインに繋がっているという展開が良かった。


設定の一つであるサトリ病は罹患した場合100%死に至っており、それゆえに世界は終末的な雰囲気を漂わせている。
ただし、前作でのサトリ病の扱いは罹患者はいるものの、出てくるキャラの中では春音一人しか罹患しておらず彼女が助かるルートがメインである。
対して本作は星・小鳥といった主人公たちに親しいキャラが病に倒れており、より死が身近になっている。
恋人・友人が死んでいく中で、それでも愛しあい生きていく・生命を繋いでいく亘と小枝子が描かれている。
また、登場人物が語っている通りサトリ病とは「いずれ人類が乗り越えるべきもの」として位置づけられている。


こうした環境下の中でサトリ病から奇跡的に助かったのが1のメインヒロインである春音なのである。
1の時点では彼女が生き残るという事実は真語との間だけで完結していることかもしれないが、2も通して見ると、春音という存在は人類が長い間待ち望んでいた奇跡だということが分かる。
そして、亘と小枝子が星・小鳥の死を乗り越えるために語り継いでいくと決めたことが報われた・願ってやまなかった希望が現実となった瞬間であったのだ。



こうした登場人物の想いが受け継がれていったことに注目すると「はるとま」は実に壮大な話なのだと気づく。
登場人物の繋がりのある続編というものはエロゲにもあるが、こうした想いまで繋がっていくという作品はなかなかお目にかかれない。
久しぶりに、プレイ後の余韻に浸れる作品だった。