「キラ☆キラ」はあなたの過去か未来か、それとも現在か

キラ☆キラ

キラ☆キラ


眩しいばかりに輝いていている青春時代とその終わりを見せられて、あなたは何を思いますか?





そもそもこの作品の推奨年齢は何歳なのだろうか?
18禁ゲームと呼ばれる作品なのだから対象年齢はもちろん18歳以上に違いないだろう。
だけど一口に18歳以上といってもいろんな人たちがそこに含まれる。
例えば私のようなモラトリアム万歳な大学生もいれば、社会の構成員として働いている人もいるだろう。
ニートやフリーターがいれば、もしかしたら家庭を持っているお父さんもいるかもしれない。
もしそんな一家の大黒柱がプレイしているなら、こんな不健全極まりない世界からすっぱりと足を洗って家族サービスにつとめ、良い父良い夫として生きていってほしいと誠に勝手ながら願ってやまないのだけど。



閑話休題
普段の私ならばこんな風に自分以外のエロゲーをプレイしている人のことなど気にせず、「あー、面白かった」とか「気持ちよく抜けた」といった評価を下し、後はせいぜい他人のレビューをいくつかサラッと読むくらいである。
けれどもこの作品は何故か他人の感想だけでなく、これをプレイした人たちの年齢・環境が無性に気になる。
そして、どういった人をターゲットにして制作したのか知りたくなる。


ご存じの通り、この作品はどのルートを通っても主人公にとってバンドは一つの区切り・青春時代の思い出という扱い方になる。
きらりが死ぬルートだってバンドを続けていたけど最後は惰性で続けている姿勢にピリオドを打ち、殻を脱ぎ捨てるEndingとなっている。
よくある設定のように「将来は輝かしい未来が待っている!!」なんていかにもエロゲーといった甘くも温くもある終わり方はしない。
どちらかというとこの作品の根底には「今は今、将来は将来」というようなドライな感情が横たわっているように思う。
もしくはロマンチックな言い方をすると「さよなら青春時代」という感傷になるだろうか。
そう考えるとこの作品は青春真っ只中の人を相手にしているのではなく、青春時代に別れを告げ仕事に家庭にと身を粉にしている社会人をメインターゲットにしているように感じる。
もしかすると社会に出るまでの残り少なくなった猶予期間を送っている大学生もその対象かもしれない。


そんな人たちはこの作品をプレイしてどう思うだろうか?
自分の送った青春時代を思い出して懐かしむだろうか?
自分には無かった青春時代を見せられて過去を後悔するだろうか?
それとも、自分の青春時代はまだまだこれからだと奮起するだろうか?


いずれにしてもこの作品に出てくるキャラと自分の過去(もしくは現在)を少なからず対比させるのではないだろうか。
そこで出てきた感傷を「俺は昔〜」なんて感想に書き殴ったり、酒なんか飲みながら他人とその感想についてグダグダと語り合って最後は「ロックンロール!!」とか叫びながら盛り上がれたら最高じゃないだろうか。
そうやって過去・今を振り返った後「さぁ頑張るか」と前向きに明日への糧へと出来れば最高にいい気分じゃないだろうか。



この作品は眩しかった青春時代をただ懐かしむだけの後ろ向きなものや「今は今、将来は将来」と割り切って考える姿勢ではなく、それを前へ前へと突き進むエネルギーへと変換する「キラキラした何か」に満ち溢れているんだと思う。
そして、それを感じ取って「ファック」だの「シット」だの笑いながら言うことが出来たのならば、その人はきっと幸せになれる……といいなぁ(笑)


バンドなんかやったことが無い私は「ロックンロール!!」とか「ファック」なんて言えないから、代わりにこの言葉を言っておこう。


エロゲー、万歳!!」