アクティベーション・ユーザー登録について感じたこと


Sugar+Spice! (シュガースパイス) 初回版

Sugar+Spice! (シュガースパイス) 初回版


先日発売されたSugar+Spice!のサポート体制への不満から発売元のChuablesoftのBBSが炎上している。
今回の問題をまとめてみると

美少女ゲームアワードの投票コードを使ってユーザー登録をしなければならない。
そして、そのコードは一度使われると他のユーザーは使うことができない。
結果として、中古品を買ったユーザーはサポート外。

として、サポート対象者が「新品購入者でユーザー登録した者のみ」となっている点である。


なお、修正パッチver.1.1の変更内容は以下のとおり。

  • キャラクター絵の演出を強化しました。
  • パンチ演出を強化しました。
  • 街マップ上でSDヒロインを湖上にドラッグ&ドロップする際の演出を強化しました。
  • オトメカイセキでヒロインたちの各要素が解析される際の演出を強化しました。
  • 『【Chu! to Real?】Congratulations!』における、オトメカイセキについての誤った記述を削除しました。
  • 「1周目クリア以後、タイトル画面でチュートリアルのいずれかのエピソードを見た直後に、タイトル画面からオトメカイセキ画面へ入り、『オトメ』の項目を選んだ場合に発生するエラー」を修正しました。
  • エピソード『バレンタインと三人』の出現条件を調整しました。
  • 一部のキャラ絵、イベントCGが表示されない状態を修正しました。
  • オトメカイセキではねるのアイテム「ピザ」の出現条件を修正しました。
  • 「歌ルートをクリアしても一部のクリア特典が解放されない(好感度が引き継がれない等)状態」を修正しました。
  • 「2周目以降、[NEW GAME]を選んでも開始時期を選択できない状態」を修正しました。
  • 「8月の最後でシーンスキップをするとオトメカイセキもスキップされてしまう現象」を修正しました。
  • アイテムリストのシーン回想で「一部のエピソードを特定の条件下で見た場合にシーン回想が途中で終わってしまう現象」を修正しました。
  • セーブ&ロード画面で、一部エピソードのセーブチップが表示されない状態を修正しました。
  • [EXTRA]→[MOVIE]を特定の条件下で見た場合に起こる不具合を修正しました。
  • 4月、はねるのボイス抜けを一箇所修正しました。
  • その他、細かな修正をしました。

「クリアできない」「プレイできない」といった致命的なバグはないものの、多くのバグがver.1.0に存在することになり、パッチを当てられないユーザーはストレスをためながらプレイすることになるのは間違いないだろう。
また、Sugar+Spice!は仕様としてCG鑑賞およびキャラ絵鑑賞は存在しないが、ver.1.2以降の修正パッチでは[CG鑑賞][キャラ絵鑑賞]が行えるようになるとサポートページに明記されてある。



ネット回線がほぼ整っていると言っても家に回線を引いていないユーザーも皆無とはいえず、また、住所等の個人情報を登録する必要はないものの、メアドを18禁ゲーム会社に知られることに嫌悪感を示すユーザーも少なくない。
そして何より、従来の中古ゲーム市場を無視している部分にユーザーの怒りが向いている。


「中古はサポート外」と謳っているメーカーは他にもいくらでもあるが、修正パッチはインターネットが出来ればほとんどのメーカーで中古品でも当てられるようになっている。
minorief - the first tale.修正パッチを手に入れるのにコードを要求してきたが、これは正規品であれば中古でも可能。*1
lightではプレイする際にシリアルコードを求められるが、修正パッチは全ユーザーに配布しているし、「一ゲーム、一ユーザー」のアクティベーションを取っているわけではない。
家庭用ゲームでも2002年に最高裁の判決で「中古テレビ・ゲームの自由流通は合法」として中古販売を認めている。
このようにゲーム業界では中古品を認めている*2状況にある。



しかし、セキュリティソフトやビジネスソフトのようにアクティベーション*3を用い、実質的に中古品を排除しているソフトも存在しているのも事実である。
これは「ソフトの中の情報に著作権が生じている」という考えの下、中古品・コピー品を認めていない例の一つである。


今回のChuablesoftのユーザーサポート体制も、「ゲームはプレイ可能ではあるが、制限がある」点では「一部機能の制限」を持つアクティベーションに似ている。
また、PS3が発売された当時、ゲームの情報を本体に取り込む機能があったことから「ソフト1本につき本体1台として、別の本体ではプレイできないのではないか」ということでPS3ソフトの中古販売を当初見合わせていた店舗もあった。
それに伴い、私の知り合いの店員は「ネット回線がついているゲーム本体が出てきたことにより、ゲームは小売店を通さずにメーカーから直に買うようになる時代が来るのではないか」と将来小売店が無くなる可能性も示唆していた。



以前、アクティベーションを導入して大コケした18禁ゲームメーカーがあったが、このように著作権の捉え方・環境の変化によりCD・DVDの中古品に対する状況も変化してきている中では再びアクティベーションを行うメーカーが出てきてもおかしくは無い。


今回のChuablesoftの騒動はメーカーと小売店・ユーザーとの関係の変化を象徴するような出来事のように私には思える。




余談ではありますが、中古品・P2Pによって入手した作品を排除したいならば、「修正パッチは全ユーザーに配布して、正規新品購入ユーザーには登録を行うことによって何らかの『おまけ』をネットで配布するような方式」にした方がいいと私は思います。
中古購入者であっても作品を気に入れば次回作を新品で買うようになることもあり、修正パッチを配布しないで中古購入者を排除するような考え方ではユーザーを敵に回すだけであまり効果が無いように思えます。
会社規模を考えれば中古品市場・P2Pは会社の売り上げ・存続に大きな影響があるというのも避けられないことで、できるだけ新品を買ってもらいたいという思いも仕方の無いことだとも理解していますが……。


中古品と新品を比べれば、発売して1ヶ月くらいの時期ならば一本あたり3000円〜4000円の売り上げの差がメーカーには出てきます。
そして何より、中古品ではメーカーに一切お金が入ってきません。
初動の売り上げがケタ違いに大きく大量に捌ける家庭用ゲームに比べ、市場自体が小さく1万本売れればヒット商品と言われる18禁ゲームではこの差は大きいです。


ずいぶん前に日記で書いたことがありますが、みなさん気にいった会社の作品はできるだけ新品で購入してください。

*1:より正確に言うならば、同梱されているシリアルコードさえあれば中古品でも可能

*2:もしくは黙認

*3:もともとの役割は不正コピーソフトへの対策で