「戦国ランス」の目指したものは?


戦国ランス

戦国ランス


ランスシリーズの転換点となる作品。
ランスシリーズや鬼畜王のネタバレを一部含みます。
ご注意ください。





シィルを助けるためにヘルマンに向かわなければならなくなったランス。
また健太郎君が魔人になり、魔王に一歩近づいてしまった美樹ちゃん。
ランスを取り巻く環境が大きく変わってきました。


変わったのは環境だけではなくランス自身もです。
信長に会い、失うことの恐さを植えつけられます。
香と共に行動し、何かを守ることも知りました。
ただ、これはランスの根っこである「世界の女は俺のもの」という自己中心的な行動原理が変わったことを意味するのではなく、むしろこの行動原理があるからこそ「自分のものを好き勝手されるのは許せない」との考えをするようになったのだと思います。
ザビエルとの戦いを決意したのも、この考えが心の底にあったからではないでしょうか?


またシィルという存在はランスにとって特別な人間。
これは5Dでコパンドンよりもリズナよりもシィルを選んだことから明らかです。
鬼畜王でもシィルを人質にとられたために、ルドラサウムの言いなりになってしまうENDが存在します。
今作の氷漬けになったシィルとのイベントでもランスのシィルに対する想いが現れています。
信長や香という存在は、そういったランスの気持ちを我々に見える形で引き出す役目を持っていたのだと思います。


言動にも行動にも子供じみた発想や性格が現れているランスですが、ただの小便臭いガキとは違っています。
ただの子供ならばここまで我々を惹きつけることはできませんし、その姿がどこか嫌味に見えることでしょう。
他人には理解できない、それでも自分なりの正義を持っていて行動を一貫させています。
その清々しさがランスの魅力であり、その魅力がはっきりと分かる形で出てきたのが今作の特徴だと私は思いました。




次回作でおそらくパットンがへルマンの王になり、人間側はランスを通じてほぼ一枚岩となるでしょう。
9で魔王の問題や魔人との決着、10ではもしかしたらルドラサウムや悪魔などといったこの世界を本当に支配している・しようとしている者たちを相手、となるかもしれません。


また、今作で、リズナのように今まで出てきたキャラや伏線などを少し回収しています。
ゲーム形式を今までのようなRPGではなく国盗りモノとしたのも、8でクライマックスへと一気に加速していくための準備としてシリーズの区切りを一度つけるため、そんな風に思います。
鬼畜王からのOntlogyやRough EdgeをアレンジしたようなRebirth the edgeといった曲を使っているのも、そのためかもしれません。



享楽的であったランスの行動が徐々に固まってきて、世界の様相がガラリと変わってきたこれからがランスシリーズの佳境ではないでしょうか?
今までのランス世界のまとめを行い、かつ、さらにこれから先へと果てしなく広がっていく壮大なるランスの英雄譚を描くための礎となる物語、それが今作・戦国ランスなのだと私は思います。





以下はゲームの話。


ゲームシステムは大シリーズと鬼畜王を足して二で割ったような感じです。
大シリーズのように部下を地域に配置しなくてもいいというのが良かった。
戦闘シーンを高速スキップ・結果だけ表示できたら良かったのですが。
まぁアリスのことですから、たぶんそのうち修正パッチが出るかと。


CGはエロいです。
でもテキストが抜き目的では無いので実用的ではない。
ま、ランスはあの暴走気味なテキストが味なのでこれはこれで。
そして相変わらずエロシーンの音楽が東ドイツ国歌。
これも伝統ですね。


音楽は最高。
さすがShadeさん。
Advance On(v2)や前述したRebirth the edgeなどの燃える曲調は健在。
シリアスな曲もいいものが揃ってきます。


一周目でランスシリーズのシナリオを読ませゲームの効率的な進め方を模索し、二周目以降でやりこみ・ハードプレイ、というのが楽しみ方だと思います。