「とらドラ! 2巻」女子高生のイジメはトイレの床を水浸しにして、そこで土下座をさせると聞き及んでいます

とらドラ〈2!〉 (電撃文庫)

とらドラ〈2!〉 (電撃文庫)



見所

この巻の最大のポイントは新キャラ川嶋亜美……ではなく、彼女が転校してくることで起こる女子間のパワーバランス。
亜美は当初、その外面のよさを武器にして瞬く間にクラスを掌握し、クラス内のヒエラルキーのトップに君臨したが*1、彼女を嫌う大河と勘働きのいい実乃梨の連係プレーと本人の自爆によって、外面のよさにひびが入り女子からは微妙に敬遠される。
1巻は中心となるのが大河と竜児だけで、その他キャラはほぼ完全におミソ扱いでしたが、問題児である彼女を噛ませることでようやくそれぞれの個性を発揮し、歯車が回り始めたという印象を持ちます。
特に竜児の本命である実乃梨が彼と絡み始めて、彼のその後がどうなっていくのだろうかという期待も大きくなりました。


また、この一連の流れに作者の女性的センスが垣間見えて、なかなか興味深いです。
「私太らない発言」は他の作品でもよく見られますが、そこから他の女子が亜美から徐々に距離をとっていく様はリアルでよかったです。
また、このような展開ですとドロドロとした人間関係を想像していますが、そこをコミカルに描くことで女子特有の粘着質な人間関係を感じさせないのは上手いと思いました。
ガチで描くとラブコメじゃなくて少女マンガちっく*2になりますからね、ドン引きです。


それから竜児の立ち位置も1巻と微妙に変わっています。
前巻は大河に振り回されるだけのほぼ下僕状態でしたが、この巻では大河の保護者役のような役回りも増えてきました。
これはやはり前巻ラストが影響しているのだと思います。


前巻は独身女教師以外見るべきところは特になかったのですが、これでようやく面白くなってきたかなぁと。
3巻に期待。

今日の独身女教師

とうとう最後の弾を撃ちきって開き直ってきましたが……、やっぱり虚勢みたいでした。
でも、いくら29歳でもジャージはまずいでしょ(笑)
彼女が坂道を転がり落ちるようにダメ人間になっていくのにこれからも期待。

最後に

それにしても作者は女性のエグい面を描くのに容赦ないですね。
前述した女子キャラたちの距離感や独身女教師の扱いなども含めて、こうした女性の微妙な心理を描くのは男の作者では無理です。
脇役キャラたちが割りとメチャクチャな行動をとっていて現実離れしていても、「あぁ、現実にもありそう」だと思ってしまうのは女性の内面をまめに描いているからでしょう。
ただ、逆に北村のキャラは悪い意味で女性的だなと思いますが。

*1:おそらく狙ってはいないのだろうけど

*2:リスカとか登校拒否という意味で