私的丸戸史明論 〜超簡易版〜
本来ならばショコラ、FOLKLORE JAM、ままらぶ、パルフェ、こんにゃく、ダメ恋、WA2辺りを再プレイして細かい描写の確認や引用すべき文章をまとめておきたかったのですが、残念ながらそんな時間が取れそうにもないので、記憶頼りに書いていきます。*1
本当に概要だけしか書いていません。
抽象的な表現が多くなるので、こういった書き方は避けたいのですが、時間の無さはいかんともしがたく・・・・・・。
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前提条件
テーマ性
プレイしてきて思ったのが、「年々、家族モノの色が強くなってきている」ということです。
丸戸さんはショコラの頃から男女の三角関係も描いてきているのですが、最近は家族モノが絡む話が多くなっています。
戯画ラインは特に。
ファミーユはズバリ「家族」という意味だし、こんにゃくの人間関係は悪い意味で家族的。
そんな中で、今のところ三角関係を軸として描いているWA2は要注目作品だと思います。
魅力的な男キャラが面白い
HERMITラインはかなりサブキャラの出番が多い。
ままらぶの主人公の父親・ダメ恋の熊さんに八さんにご隠居。
彼らの作中での使われ方は、主人公以外の男キャラの登場場面が少なくなりがち・重要性が低くなりがちな恋愛モノのエロゲーの中では注目されるに足る理由だと思います。
一方、戯画ラインの方では「男キャラ、何それおいしいの?」*3
これはブランド色が影響しているのか、はたまた・・・・・・。
愛すべきダメ人間達のめんどくさい恋愛
登場人物のほとんどが「ダメ人間」
ダメ人間はダメ人間でも、彼が描くキャラは「愛すべき」が頭につきますが。
主人公のことならいくらでも頑張れるが、それ以外のことは全くどうしようもないブラコン姉・主人公のダメッぷりを毎回貶しつつ、最後の最後は「しょうがないなぁ」で手伝ってしまう同級生*4・超人スペック持ちなのに人がいいせいで貧乏くじばかり引いているリーマン主人公・家賃滞納上等を地で行くニートなのに、主人公とヒロインの関係には積極的に応援してくる隣人ども*5・主人公と離婚したのに、主人公を好きで好きでしょうがなくて毎日後悔している元妻・お人よしなダメ主人公を好きになって、彼をヒモにして生活するのもいいかなぁと思っているOL・女性関係に手が早く放任主義なのに、時々役に立たない助言をし、かと思えば主人公の窮地をさらっと救ってしまうダメ親父・毎日裸Yシャツ、家事壊滅的で主人公を家政夫代わりの官能小説家etc...
書ききれません(笑)
また、彼の描く登場人物の内、ヒロインはダメ人間に加えて、何らかの「裏」を持つことが多いです。
それは重い過去であったり、人にさらけ出すに恥ずかしい設定であったり、表と裏の顔が違っていたり。
そして、こんな登場人物たちが「めんどくさい」恋愛をする。
これが彼の描くキャラクターと恋愛の魅力の一つだと思います。
お約束からずらした設定・シナリオ
彼の設定・シナリオは非常に王道というかお約束的です。
しかし、全部が全部、教科書的に作っているわけではありません。
例えば優等生キャラにしても、ただの優等生キャラとしては描かない。
どこかに優等生像を完全に壊す設定を用意し、そこを皮切りに主人公とヒロインの関係を進めていく。
ただし、主人公以外の前ではあくまでも優等生像を残すという小技も効かせています。
よくあるエロゲなら最後まで優等生か、完全に壊すかのどちらかです。
言うなれば「教科書から半歩・一歩外して並行に描く」ことが特徴。
教科書的なのに、教科書とは違うという評価を得る理由がこれです。
パルフェのカトレアがツンデレとして人気が出たのも、こうした設定がうけたからでしょう。
計算された展開と演出
これについては実際の文章を引用・展開を紹介するのが手っ取り早いのですが、改めてプレイし直す時間は無いので、割愛します。
一つ紹介しておくと「全く関係の無い話かと思いきや、現在の状況を的確に表す会話」というのがあります。
実際に文章を読んでみないと分らないと思うのでプレイして下さい、できれば上に挙げた作品全部(笑)
彼の文章構成・シナリオ展開等、技術的なものはままらぶ以降変わっていないと思います。
テーマも大きな変化はないでしょう。
では、何故飽きられずに、今でも人気を誇っているのか。
それは豊富な引き出しを持っているからだと思います。
上述したようなキャラクター像の深さ・幅広さとお約束的なのにお約束ではない設定。
これらを全て計算ずくで展開させて上手くまとめていることが評価の高さに繋がっているのでしょう。*6
こんにゃくは失敗作
こんなこと言うと刺されそうですが、丸戸信者を自称する以上は言っておかないといけないと思いまして。
何故、失敗作なのか。
それは「愛すべき」ダメ人間がいないから。
ダメ人間はいます、でも愛らしいとか面白いとか、正の感情を伴わない本当の意味での「ダメ人間」です。
いい印象を抱かない理由の一つは「裏」がないからです。
転校生は最初から最後まであのまま。
めんどくさい幼馴染はひたすらめんどくさいだけ。
腹黒生徒会長はサブキャラと絡む機会が少ないので、表では真面目な委員長キャラという設定が浮いてしまっている。
彼らの性格が最初から完全にオープンなため、設定に裏があっても、「設定だけ」になってしまいシナリオ・テキストを伴っていません。
先生とお嬢様はかろうじて及第点なのですが、彼らレベルのシナリオは他作品ではサブヒロイン止まりです。
もう一つの理由は人間関係が狭すぎるためです。
ほぼ主人公とヒロインだけに完結しています。
他のキャラと絡む機会は重い展開時が多く、丸戸さん特有の笑いがほとんど伴っていません。
サブキャラを含めない内輪だけの笑いは他のエロゲでいくらでも見られます。
WA2の見どころ
上で触れた家族モノを挟まない三角関係というのも見所の一つなのですが、三角関係自体は他の丸戸作品で見られるので重要ではありません。
結局は、発表当初から言われていた「WAをどう調理するか」が焦点です。
それは「元ネタありの作品を上手く使えるのか」「元ネタありの作品の中で丸戸色をどう出すのか」
あまりにも丸戸色を抑えすぎるとこんにゃくの二の舞になり、丸戸色を出しすぎるとWAの名を冠する意味がなくなる。
ここらのバランスをどのように取ってくるのか、に注目です。
というのが丸戸信者・WA信者の楽しみ方です。
それ以外の方は「これが丸戸か」と素直にプレイすればいいかと。
以上、いち丸戸信者から見た「丸戸史明論」でした。
時間がなくて、かなり端折ったので、誰かもっとまともなものを書いてください。
参考
発達心理学から見る「この青空に約束を―」 - 電波ゆんゆん@はてな出張版*7
「世界でいちばんNGな恋」現代版人情噺 - 電波ゆんゆん@はてな出張版